「絵本の時間 その1 『フレデリック』レオ・レオニ(好学社/1969)」 古田茄子

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

大きな地震があった。寒さに耐え、食べるものにも不自由する被災者の方々を見て、ふと思い浮かんだのがこの絵本です。

フレデリックは野ねずみだ。他のねずみが冬にそなえて食糧やたきぎを集めているのに、彼は何もしない。皆は少し腹を立てて彼にたずねる。
「なにをしているんだい」

すると、フレデリックは「ひかり」や「いろ」や「ことば」を集めているのだと答える。集めた食糧やたきぎがなくなってきて、皆がひもじい思いをし始めると、フレデリックは光や色の話をし、詩を披露する。あたたかい光や美しい色、言葉をそれぞれの中にまざまざと思い描いたねずみたちは満たされて、フレデリックを賞賛する。
「きみって、詩人なんだね」

読み終わると、にやり、としてしまうお話です。食べ物、暖房、ガソリン・・・。「モノ」に振り回される日々に、少しでもヒントになればとおすすめします。

プロフィール
古田 茄子(ふるた なす)
山形暦10年あまり。最上川の歴史研究、城山登り、湧き水深訪、そば屋めぐりなど、趣味は山形。植物の名前を覚えるのが得意。オーガニック料理や身体にやさしいお菓子作りにも精を出す。いつか青汁だけで生きていけるよう肉体改造して、仙人になりたいとの野望を秘めている。